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滋賀 開催記

こんばんは。けーごです。

 

ツーリングタイムラリー「滋賀」を開催しました。今回はその報告です。

 

Sunrise Sunset Touring Rallyに参加して以来、無情な時計と自身の感情に向き合う旅を好むことに気づきました。「この道で合ってるのか?」「本当に間に合うのか?」走行に伴う感情の変化は、困難の要素になります。その困難を克服して素晴らしい感情を覚えれば、それは感動の要素になります。

 

パリダカのライダーはなぜダカールであれほど泣くのか? それは、砂漠や未舗装路を巡る8000kmの過酷な走りをした後に、いきなり大海原が眼下に広がるからでしょう。SSTRのライダーはなぜ千里浜であれほど感動するのか? それは、完走条件や日没までの時間と向き合う勇敢な走りをした後に、斜陽の千里浜が眼下に広がるからでしょう。

 

少しでもその感動を滋賀県で味わえたらと、様々なコンセプトのコマ図を公開し、イベントを開催してきました。いずれのコマ図にも共通したコンセプトは「滋賀県を知り楽しんでもらうこと」です。今回は、その中で「勇敢な走り」をテーマに、オンタイムラリーを企画しました。



滋賀
Be Brave
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滋賀とは、石処(シカ)の語源の通り、石の多いところを意味します。対して近江とは、淡海(あはうみ)の語源の通り、海を思わせるほど広い琵琶湖に由来します。つまり滋賀は、湖を岩石の豊かな山々で囲むところです。そこで、岩肌に沿う山深い道を幾度と縫った後に、湖を見渡せるコマ図を作りました。

 

滋賀県を知り楽しんでもらうために、岩肌や渓流を見れる道を選びました。具体的には、STAGE 1の権現谷林道や県道34号、STAGE 2の走井林道です。
権現谷林道は近江カルストの石灰岩に沿う林道です。何度走っても見惚れます。

 

走井林道は金勝山(こんぜやま)の花崗岩に沿う林道です。抑揚を楽しめます。

 

走行に伴う感情の変化に対して勇敢な走りをしてもらうために、山深く曲がりくねった単調な道を選びました。具体的には、STAGE 1の県道229号、STAGE 2の心行林道です。県道229号では、8kmの下りを通して、あと何分だっけ?遅れている?早すぎる?と走行を振り返る時間を与えます。心行林道では、ここまで時間調整してきたのにここから林道?タイトで全然挽回できないじゃないか!あとどれだけあるんだ?と対策してきた走行を否定する機会を設けました。制作者の用意したオンタイムラリー独特のシナリオを参加者はどう受け止め、克服し、勇敢な走りと感動に繋げていくのか、楽しみでした。



オンタイムラリーは、走行時間の正確さを競う競技です。ステージの走行時間が指示時間に近いほど高得点です。今回のラリーでは、ステージの指示時間と走行時間の差が1分であれば50点から1点減点する換算でした。例えば、60分で走るように指示されたステージを63分で走っても57分で走っても47点です。2ステージ制にしたので、100点に近いほど良い成績です。競技とはいえ草イベントなので、ツーリングタイムラリーと表現しています。今回は、MMGさん(XT660Z Tenere)、たかしさん(XR BAJA)、おたけさん(Tiger800XCx)にご参加いただきました。



11月23日
09:30 道の駅近江母の郷
北上するにつれて暗く・寒くなり、八日市以北では雨に降られました。ずいぶんと身体を冷やしてしまいました。それでも皆さんめげずに集合していただき、ありがたい限りでした。

 

10:30 STAGE 1 START(1:40:00 / 61.62 km)
STAGE 1をスタートしました。通常、初めのステージでは、参加者は制作者の距離計に合うように距離計のパラメータを調整します。しかし、今回は交差点の多く調整しやすい市街地をすぐに抜けてしまうため、早めに調整を終えなければなりません。果たして皆さん距離計のチェックを終えられたでしょうか。不安に思いながら途中までルート通りに走りましたが、迷っている方も見当たらなかったので、多賀大社前で休憩してフィニッシュ地点へ移動しました。

 

12:00 道の駅あいとうマーガレットステーション
フィニッシュ地点へ着きました。秋も終わるというのにひまわりが咲いていました。8月下旬に北海道でひまわりを見たときですら困惑したのに、11月下旬に滋賀でひまわりを見ると余計に困惑しますね。

 

12:20 STAGE 1 FINISH
STAGE 1は、たかしさんが満点で勝利しました。過去2回の開催で、たかしさんは初めのステージで好成績を収め、中盤に大きくミスし負けていました。対して、MMGさんは堅実に時間を合わせてくるため、総合では2回とも勝っています。現時点で、たかしさんはこれまでの傾向通りと言えます。MMGさんは序盤で急ぎすぎたため、時間調整を十分にできるほど残りの距離がなかったそうです。オンタイムラリーの難しいところはまさにここでしょう。おたけさんは、初参加ながら8分延でした。いいコンディションとは言えない天候では大健闘で驚きました。全員事故や転倒もなく安堵しました。

 

13:30 STAGE 2 START(1:50:00 / 59.88 km)
昼休憩を挟み、STAGE 2をスタートしました。初優勝に向けリードを築いたたかしさんには緊張が、リードを築かれたMMGさんには一抹の不安が垣間見えました。今回のSTAGE 2では、市街地から山へ向かうルートにしました。小刻みで単調な右左折と故意に描写を省いたコマでミスコースを誘います。この気の取られる市街地で時間を調整しきってしまうと最後の林道で遅れに繋がるようにルートを作っていました。果たしてこの七味は得点にどう効くでしょうか。貴生川で休憩してからフィニッシュ地点へ移動しました。

 

15:30 STAGE 2 FINISH
STAGE 2は、たかしさんが満点で連勝しました。これでたかしさんは100点満点でツーリングタイムラリー「滋賀」を優勝!また、MMGさんは94点と前回まででは優勝できた得点で完走しました。3戦3勝とはなりませんでしたが、3戦2勝でシリーズチャンピオンになりました。MMGさんは市街地で時間調整をしたら林道で遅れ気味になったそうです。用意したシナリオは機能していました。おたけさんは初参加ながら80点を超える高得点で完走しました。試走時のぼくの得点よりも高く驚きました。皆さんおめでとうございました!

 

(たかしさん撮影)
フィニッシュ地点の竜王山では、琵琶湖と湖南を展望できます。皆さんに感動していただけて嬉しいです。ただ見に来るだけでも綺麗に思いますが、これまでの走行を通してより演出できたと思います。なにより、無事に皆さん完走して安堵しました。



今回はコマ図のミスもなく、円滑に終えられてぼく自身も満足のいくイベントになりました。これからは冬期通行止や修士論文の執筆にかかるため、今回は滋賀県で最後のイベントでした。有終の美を飾れてよかったです。

 

必ずしも、冒頭に書いた意図がコマ図の走行を通してすべて伝わるわけではありません。しかし、滋賀を知り、滋賀を楽しみ、滋賀で勇敢に走れたかどうかは、フィニッシュ地点の歓声に現れたと思います。試走を繰り返しても感動できるこのツーリングタイムラリー「滋賀」は、ぼくにとっても誇れるものとなりました。近所でもないのにはるばるお越しいただける素晴らしいライダーに恵まれ、幸せな限りです。これに飽きず、これからも精進します。

 

では。