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ルマン4時間耐久をGT7でやってみた

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

3年目になる年末年始のグランツーリスモ耐久レース。グランツーリスモ7が2022年にリリースされたので、今冬もルマン4時間に挑戦しました。

 

この企画は、実在する規則に基づいて耐久レースの疑似体験をすることで、レースの進め方を学ぶものです。やたら凝った遊びです。

 

 

❏ サルト・サーキットについて

フランス北西部の都市 ルマンにあるサルトサーキット。

常設サーキットと公道を組み合わせながら、4本の全開区間を有する高速コースです。ルマン24時間耐久は毎年6月下旬に開催されます。

 


❏ レギュレーションについて

WEC競技規則に基づいて実施します。

今回は戦略に柔軟性を持たせるために、タイヤ18本にしました。つまり、3回タイヤ交換が可能です。コンパウンドはハードとミディアムを選択します。レースではハードのみの予定です。

 

 

❏ 参戦車両について

グランツーリスモ7 カスタムレースでは、参戦車両・ドライバー名を任意に設定できます。

せっかくなら、チーム国光が参戦した時代に合わせたい。グループGT1/GT2規定(1994年~1998年)の車両を集めました。ドライバーもリバリーも当時のものです。

 

84 N. Keigo NSX GT2 チーム国光

47 I. Capelli NSX GT1 Turbo Honda

 

まずは自陣。NSX GT1 TurboはNA1ですが固定ライトに変更されているので、NA2で準備しました。当時650馬力ですが、グランツーリスモ7上では587馬力までしか出せませんでしたので、限界まで絞り出してます。

 

 

59 M. Sekiya F1 GTR 国際開発レーシング

26 T. Boutsen 911 GT1 Evo Porsche AG

35 M. Kane CLK-LM AMG Mercedes

 

GT1規定といえばこの3台。軽くて速いスーパーカーで勝ったマクラーレンF1。レースカーを市販化する方法でGT1規定を破壊した911 GT1。原型とかけ離れたモンスターのCLK-LM。

同年代の車を乗り比べてわかる、ルマン総合優勝を狙う気迫。恐ろしさすら覚えました。

 

 

77 G. Kuster 911 GT2 Seikel Motorsport

81 N. Adams 911 GT2 Richard Jones

 

華々しいGT1車両の一方で、1994年~1996年のGT2車両は911が中心。当時のレギュレーションでは、RR車両の規則が緩く、アマチュアの参戦台数を確保する思惑がありました。

同じ見た目で911 GT2 Evoもあり、これはターボ化で高出力のGT1車両。有力チームは上位に食い込むほどでしたが、ワークスマシンには勝てない。これが911 GT1の誕生に繋がります。

 

 

51 P. Lamy Viper GTS-R Viper Team Oreca

63 D. Bell Viper GTS-R Societe Viper Team Oreca

64 J. Nurminen Viper GTS-R Chamberlain Engineering

 

1995年以降、バイパーが台頭してきます。GT1規定でワークスマシンに太刀打ちできなかったバイパーは、1996年以降はGT2車両にデチューンして参戦。クラス優勝の常連となり、ポルシェを凌駕していきました。

 

 

22 M. Kondo GT-R LM Nismo

23 K. Hoshino GT-R LM Nismo

 

1996年までは、国産メーカーも既存の市販車を改造して参戦するアプローチを取っていました。ルマンのレギュレーションでは2ドア後輪駆動車に限られた一方、スカイラインには4ドアセダンもあります。そこで、ニスモが日産に代わりR33コンプリートカーを販売することでホモロゲーションを取得しています。頭いいですね。

 

 

27 M. Martini Supra LM-GT Sard

 

SUPER GTでもおなじみのサード。この頃はルマンに注力していました。スープラを改造した専用車両でホモロゲーションを取得して参戦。GT-Rと同じく、スーパーカーに歯が立たずに撤退しています。

日産とトヨタは奮起して、R390 GT1、TS020 GT-oneの化け物を生み出すことになりました。

 

 

99 T. Kurosawa NSX GT2 中嶋企画

 

ルマン決勝にたどり着けなかった車両もいます。日本人初F1ドライバーの中嶋悟が要するNSX。予備予選落ちでした。このカラーリングはルマン直後の鈴鹿1000km用なので厳密には違いますが、走れなかった車両も報いたいので。

 

 

30 C. McDougall ZR-1 GT1 ZR1 Corvette Team USA

 

GT1規定が導入された直後のマイナーな車も用意できました。1994年に出ていたコルベット。1994~1995年の、手持ちの市販車を強烈に速くして持ち込むスタンスはとても好きです。

 

 

57 T. Saldana Testarossa LM Repsol Ferrari Espana

 

ルマンにフェラーリは欠かせない。

本当はPilot F40 LMを準備したかったのですが、ゲーム上で購入する機会がなく準備できず。他にはF328 LMがいましたが、F328はグランツーリスモに収録されていません。

代わりに、似ているテスタロッサを準備しました。似合っていてかっこいい。

 

 

❏ 練習

セットアップします。

今回は、足回りの決め方を学ぶために、勉強し直しました。疲れにくい車をコンセプトに、以下を注視してセッティングしました。

・タイヤ摩耗しにくい

・タイヤ摩耗に応じて挙動が変化しにくい

・スロットルでヨーを調整できる

・森のS字出口(5コーナー)で安定している

 

元のNSXはオーバーステア傾向。好みは弱アンダーステアなので、そちらに振ります。

路面追従を重視したサスペンションに、バラストとスタビライザーで静的・動的重量配分を前に振りながら、空気力とデフで後輪を抑制する。セッティングシートだけ見るとパラメータを極端に振っただけに見えますが、バランスの取れたいい足回りになりました。

森脇さんがかねてより発言されていた「メカニカルグリップの出ている車はどこでも速い」を理解できるようになりました。

 

【参考】

演習 機械振動学 (佐藤秀紀, 岡部佐規一, 岩田佳雄, サイエンス社, 2015)

自動車工学の基礎理論 (林 義正, グランプリ出版, 2019)

自動車のサスペンション (KYB株式会社, グランプリ出版, 2013)

国光 THE RACER (auto sport, サンエイムック, 2022)

Beyond the Apex - グランツーリスモ・ドットコム

HONDA NSX Turbo GT1 Le Mans - YouTube

 

待ちに待ったNSX GT2でのルマン。モチベーションを上げるべく当時の取材を読んでからレースに挑みました。

わが心のル・マン28年史 その13 1995年第一話「一生の思い出。チーム国光 HONDA NSXのGT2クラス優勝を振り返る」 | 高桐 唯詩/Takagiri Tadashi わが心のル・マン28年史

 

 

❏ 予選

グランツーリスモ7 カスタムレースでは全車のグリッドも決められます。

各車とも当時の資料を調べながらセッティングを決め、レーシングハードタイヤでアタックしてグリッドを決定しました。

 



 

❏ 決勝

時間の過ぎる早さを決めることができます。ならば、24時間を4時間に込めよう。レース中の自転は6倍です。

4時間後に輝くのは誰か。

行くぜNSX。行くぜ国さん。全力あるのみ。

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 



 

 







 

 


ルマンの怖さは、ユノディエールの長さ。

いつになく星空が綺麗だった。

 

 







 



 

 

残り30分。あと少しだった。目の前だった。抜けなかった。

自己ベストを連発しながら追い詰めても、抜けなかった。

まあ、CLK-LMはツーリングカー選手権を全勝した車ですしね。それに勝とうとするのは現実的ではありません。惜しかった。

準優勝ですが、やり切りました。悔いはありますが、やり切りました。

 

❏ あとがき

グランツーリスモ Sophyという、速く走らせることに特化したAIがグランツーリスモで開発中です。グランツーリスモ世界選手権のチャンピオンが負けるほどの速さです。

Sophyが投入されたら、また同じチャレンジをしてみたいです。その時は、当時のような飛ぶように速いGT1に譲りながら、GT2クラス優勝を争う遊びができるでしょう。さらに本格的になりますね。

 

一から車とGT1規定の勉強をし直し、ルマン4時間耐久に挑みました。

さながら世界の舞台についたひとりのドライバーのような、これまでにない緊張感がありました。

皆さんもぜひチャレンジしてみてください。幸せですよ。

 

今年も駆け抜けます。

では。