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写真で振り返る2024年

こんばんは。けーごです。

 

「立ち止まるために走る」を自分らしさを表す言葉と捉え、20代を総括した昨年。30歳になった今年は、変化の大きな一年でした。その足跡を振り返ります。

 

❏ 個人として

なによりも今年は、結婚しました。

20代は利己の期間として自分の成し遂げたいことに執着し、30代からは利他の期間として家族や社会のために注力していきたいと考えてきました。その20代までの編纂として展示会『人生の座標』を開催したものの、開催以降は自分でも想像しなかったほど物事が進んでいきました。人生は選択の連続だとラリーを通して学んだとはいえ、その選択肢は予想できないもんだなとつくづく感じました。

お祝いいただいた皆さん、ありがとうございました。これまでのような内省の時間は大きく減りましたが、新しい人生を楽しんでいます。

 

 

❏ ラリーオーガナイザーとして

今年は、TRIAL RALLY Rd.10 御嶽を開催しました。バイク向けオンタイムラリーとして最後の大会です。

「山岳信仰の追走」をテーマに、自分なりに考える日本でできる最高峰のラリーを描きました。1年かけて入念に取材・試走をし、過去最長320kmの大会を贈りました。

 

早朝の琵琶湖から、伊吹・白山と山岳信仰の拠点を経て御嶽へと向かうルート。大きなトラブルもなく無事に皆さん完走いただけました。

競技面では、トリッキーな路面などの瞬時の判断や、オンタイムに向けた全体の把握を同時に求める、最高峰に相応しい難易度に仕上げました。

大会結果は、TRIAL RALLYの大ファンであり、ラリーモンゴリアを完走した#8による97点の優勝となりました。安定したペースで走り、最高峰の優勝に相応しい総合力を披露いただきました。おめでとうございました。

 

残り2kmで御嶽を唐突に見る、感情を揺さぶる内容でした。御嶽を前にして目頭を熱くした参加者も現れ、山岳信仰の入口をご体感いただけたと思います。自分が目指した最高峰のラリーは、達成できました。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。悔いはありません。

御嶽開催記は1万字と凄まじい長さですが、私がなぜ「山岳信仰の追走」を最高峰のラリーとして描いたのかを記しています。ぜひ読んでいただきたいです。

 

 

そして、ラリーパイロットとして、またラリーオーガナイザーとしての歩みを編纂したラリー手記『砂を追う』を執筆中です。お知らせできるのは来年になりますが、培ったノウハウに加え、TRIAL RALLYの設計思想、各大会の解説など、記事にまとめなかった詳細な内容まで記しています。お楽しみに。

 

 

 

 

今年は、サイクリングラリー TRIAL CYCLE のシリーズ制作に勤しみました。

自転車でコマ図を走るのは楽しいのではないだろうか?誰もが楽しめる、免許すらいらない最も開かれたラリーなのではないだろうか?そうした発想から、昨年に始めました。

今年は鎌倉から壇之浦まで13本をリリースし、全国にラインナップを増やしました。一周18kmの周遊タイプから、本州縦断する片道タイプまで、内容も様々。

作って学んだ中でも、味付けの方向性を整理できたことが、今年一番の収穫でした。

ポタリングメイン :気軽に寄れる利点を活かして観光地を巡る
サイクリングメイン:走りに集中する点を活かして街道を辿る
ラリーメイン   :地図を見て道を漕いで進む点を強調して自分に意識を向ける

 

サイクリングラリーの真骨頂は、距離・時間・体力を考えて、自分は大丈夫なのか?と自問自答を繰り返すラリーらしさにあると考えてきました。たしかに、シリーズ最高峰の本州縦断での、日没に間に合うのか?脚は攣らないか?という不安を平均速度や栄養摂取量を計算で克服して完走に繋げる喜びは、生涯で替え難いものです。

また、アテンダントのいないツアーというラリーの性質を活かして観光スポットをはしごする楽しさも醍醐味だと認識できました。鎌倉のような一大観光地も、幕府という切り口で巡れば想像もしないほどの充実さをもたらしながら、つまみ食いを楽しめます。エリアを絞っても満足できるのは自転車だから描けるルートだからだと実感しました。

サイクリングラリーは、こうした大きな振り幅で旅を提案できる素晴らしい箱です。

一方で、この魅力を十分に伝えられなかったと感じています。私と皆さんで同時に共有する機会が少なかったからと考えています。「オープン制だから自由に走ってね」で実際に走ってくれる人は旅慣れた玄人ばかりという事実は否定できませんでした。玄人の皆さんに共感いただけたという点は非常に嬉しく、自信に繋がります。

これからは、最も開かれたラリーという参加障壁の低さを訴求する、わちゃわちゃ走る機会も必要です。かといって、TRIAL RALLYの熱量でイベント開催しては疲弊します。やはり、人伝に誘って小規模に集まるのがいいのかもしれません。おもしろいのは間違いないので、なにか機会を作りたいと思います。

来年もラインナップを充実させていきます。

 

 

 

ロードバイク、新しく買ったMTB、レンタサイクルと、用途や気分に合わせて試走手段を替えられるのは楽しかったです。

木曽路の試走では、ロードバイクでオフロード走行を強いられ、繊細な技術と強烈な体力が必要でした。終盤に首が攣るなど満身創痍で印象的な試走でした。Mではありません。

 

今年は全国へ移動する機会が多く、多くを試走できました。展開し始めて1年ともあり、当初からリリースしたいと考えていた本州縦断の若狭にも着手できました。大げさかもしれませんが、生きている実感が湧くルートです。

来年以降も、自分のペースでリリースしていきます。

 



❏ 旅人として

今年は、従来のようなストーリーのある大きな旅はしませんでしたが、小さな旅は多くしました。その中でも、夫婦でゆめしま海道をサイクリングしたことが最も印象的でした。山陽の観光列車をサイクリングで乗り継ぐ輪行旅は、自分の中で新しい旅の方向性を示すものでした。乗っても楽しい、走っても楽しい、輪行だからできる旅でした。

 

長野電鉄の北信州ワインバレー号に乗りました。HiSEの中間1両で、弁当とワイン飲み放題を楽しめます。特急扱いですが、遅めに走るので乗り心地も良くおすすめです。

 

北海道にも行きました。H100形はキハ40と大きく乗り味は異なるものの、北海道の新しい標準車両として十分な役割を担ってくれると感じました。

 

東北地方にも行きました。前日に落成したE8系に乗れて、在来線特急の車内空間でありながら爆速で走っていくギャップはいつ味わっても驚きます。

 

東京にも行きました。木場にあるフランス料理店『アタゴール』では、日本版オリエント急行の夢空間を購入し、本物のオリエント急行のシェフを務めたオーナーが料理を振舞ってくれます。食後のコーヒーは車内で楽しめ、まさに夢空間でした。

 

鉄道ファンとしては、ドクターイエローの引退宣言に驚きました。近年は検査設備の小型化で検測可能な旅客車両が増えてきました。新幹線もその流れとして理解できますが、技術進歩を感じますね。

 

ホームゲレンデと据えているウイングヒルズからは荒島岳がよく見えました。

 

山形では山寺を楽しんだり。

 

TRIAL CYCLEの試走で立ち寄った東海道と中山道それぞれの美術館で浮世絵の印刷を楽しんだり。

 

各地の百名山を眺めることができました。今年は登山できませんでしたが、来年はどこか登りたいですね。

 

 

❏ モータースポーツファンとして

今年もレース観戦できました。WRCではカストロールカラーのGRヤリスがイケてました。やっぱりトヨタ車にはカストロールですね。

シビックになった100号車も応援できました。チャンピオンは逃してしまいましたが、最速ホンダ勢であり続けられるよう来年も応援していきます。

 

 

❏ 音楽ファンとして

今年も、たくさんの音楽を聴きました。

今年は、Parcelsとサカナクションのライブに参加しました。Parcelsはエレクトロディスコバンドとして現代洋楽ポップシーンで群を抜いた存在だと思います。来日時には必ずライブ参戦したかったので、念願叶いました。このツアーではクラブ寄りなテイストで、トランス状態になるほどノれる曲調がたまりませんでした。

サカナクションの復活ツアーにも参加でき、改めて音楽の幅に感動しました。同じ時代に生きていることを誇りに思います。

 

 

妻の所属するオーケストラの仲間が変わった演奏会に参加したので聴きに行きました。新幹線の先頭車両はジュラルミンの板金加工によって成形されますが、同じジュラルミンの板金加工で弦楽器を成形してみたというものです。残響の違いを感じられ、興味深い企画でした。

 

そして、今年は、従来聴いてきた曲を再考し、解釈の変化を知る一年でした。
その中で、特に言葉にしておきたいアルバムと曲をそれぞれ記します。

 

押尾コータロー - Panorama

世界旅行をテーマにアコースティックギターで奏でるアルバム。出国の高揚を思わす1曲目『Departure』から、『オアシス』『オーロラ』『コンドルは飛んで行く』と世界の景色を描いて、12曲目『夢のつづき』で自宅の寝床につく、アルバムを一巡すると世界一周をする気分になります。

このアルバムは、押尾コータローにとってメジャー4作目です。それまで、超絶技巧なインパクトのある一曲一曲で押してきた中でコンセプトを持ったアルバムで、アーティストとして表現を追求した意欲作に感じます。作中はそれまでの楽曲に比べれば個性を抑えた曲にはなりますが、押尾コータローだからこそ表現できるダイナミックさと繊細さを調和させており、秀逸です。

10年以上前からアルバムを持っていましたが、改めて一巡してこのコンセプトの良さに感銘を受けました。数文字のタイトルと数分の音から景色や感情を想像するのは、インストの醍醐味ですし、その良さを存分に感じます。このアルバムの再発見は今年特に印象的でした。ぜひ音で旅をしてみてください。

 

 

サカナクション - 朝の歌

「夜を好き、朝を冷めて見ていた人が、朝に興味を抱く」と表面的には受け取れる内容の曲です。本来の意図は当然そんな薄いものではないわけで。

 

サカナクションは、郷愁を扱うことが多く、寂しさや葛藤といった内省を切り口に歌う曲を生み出してきました。

エレクトリックポップと文学的な詩を武器に、26歳でメジャーデビューし北海道から上京。遅植えの田舎者という自己認識が希望と現実の差に葛藤を生んだ。サカナクションは、こうした内省を夜と例え、夜を情景にした内向きな曲を好んできました。これがノれる曲調なのだから、刺さる人には刺さる。ニッチな立場でした。

次第に人気を獲得し、タイアップや紅白出場など、大衆を意識する外向きな曲が必要になりました。遅咲きのバンドは日の出を迎えようとしていたわけです。

『面白そうに朝日を眺める飛び魚になる』

夜でいたいのに朝が来る。それでも自分らしくいたままやっていけると思う。面白くないと思っていた大衆は、どんなものだろうか。

 

この曲を、私は利他への転換の決意と捉えました。自分たちの歌いたいものを奏でたいように奏で、自分らのために歌ってきた曲から、みんなに親しまれる曲へと昇華させていく。サカナクションは、新宝島に象徴されるように、それを成し得たわけです。

 

いま、自分に写しても考察できます。

私は、30歳で死ぬと形容し、20代でやりたいことをやり切るべく活動してきました。ラリー、旅、写真と、自分の全力を尽くして追究しました。TRIAL RALLY 御嶽、ALPS500、人生の座標と、納得する形へと昇華して今年30歳。30代からは、自分のことばかりでなく、家族や未来に貢献する利他の時期だと考えます。結婚した今年、変わらない自分らしさを持ちながら、新しい自分へと変わっていく。

今だからこそ、『朝の歌』は自分と照らし合わせられる曲だと思いました。

 

 

❏ 最後に

今年は、ラリーに特化した生活から一転して、適度に楽しむ趣味の領域に落ち着きました。従来の熱量の反動にも感じます。それなりに楽しんでいますが、切れ味ある写真も、なぞりたくなる言葉も残していない事実は、新しい生活への迎合を諭されているようです。

来年は、会社の慰安休暇を取得できます。休暇を使って、私が日本に残した宿題を片付ける旅を企画しています。今から楽しみです。

 

本年もお世話になりました。よいお年をお迎えください。

一人で道を示してきました。二人で道を歩いていきます。

 

では。