#GiveMeWings

discover

TRIAL CYCLE Prologue 美濃 開催記

こんばんは。けーごです。

 

TRIAL CYCLE Prologue 美濃を開催し、自転車でラリーをやってみました。

このイベントは、コマ図を自転車で走るサイクリングラリーの持続可能性の評価を目的に実施したテストイベントです。

 

❏ サイクリングラリーとは

サイクリングラリーは、自転車で行うラリーレイドイベントです。ラリーってやばいやつ?と思われる方もいらっしゃると思うので、以下ラリーの構造からイベントへの文脈でお話します。

 

ラリーレイドは、コマ図と呼ばれる略地図を用いてゴールを目指すモータースポーツです。ダカールラリー(いわゆるパリダカ)が世界最大のラリーレイド大会として知られています。

ラリーレイドでは、参加者は距離計・方位計を基に正しい進路を選択し続けて走ります。一般に、GPSでの地図利用を禁止され、進路の正しさはしばらく走らないとわからない特徴があります。

進むべき道を探して決める、自分の道を切り拓いていく冒険心が、ラリーレイドの魅力です。

 

これがコマ図。スタート地点からの距離と、交差点の略図が記された巻物の地図です。

 

日本のラリーレイド大会では、1日250km~400km走ります。これが3〜5日続き、車両と選手の耐久力をベースに、速さを競います。したがって、競技成績では人馬一体と心技体の一致が問われます。

ルートは、走行エリアを代表する景勝地を巡りながら、舗装路・未舗装路織り交ぜて構成されます。速さを競う競技区間がルート上に設定され、参加者は初見の閉鎖区間を全力で走行します。知らない道を、知らない交差点を、コマ図と計器類を見ながら飛ばしていく。技量・頭脳・度胸を備えることが、ラリーレイドの心構えです。

ラリーレイドの参加車両は、主に二輪・四輪で、大会によって規定されます。また、日本には競技ではなくラリーを楽しむためのツーリングラリーも開催されています。ラリーレイドの成り立ちから、二輪・四輪の動力源を持つ車両を対象に各種開催されています。競技を追求する大会と、手軽に参加できて裾野を広げるイベントで役割分担しているのが、日本のラリーレイドの現在です。

 

走る楽しさは、車やバイクに限った話ではありません。私たちは、自転車によって初めて移動の自由を獲得したはずです。あちこち走って、友達の家に行ったり、思わぬ景色に出会ったり、土地勘を広げてきたはずです。

自分の脚で、自分の道を切り拓く冒険があってもいいだろう。

そこで、自転車でコマ図を用いて走ってみよう。これがサイクリングラリーです。サイクリングラリーシリーズ TRIAL CYCLE を立ち上げ、これから追究していきます。

 

 

❏ TRIAL CYCLE Prologue 美濃

サイクリングラリーは、手軽に挑める新しい冒険として、交通文化の発展への貢献を期待できます。免許すらいらず、お子様を含んだ家族全員がラリーの当事者として挑めます。

このような魅力的な企画でありながら、完走を前提とし、サイクリングの醍醐味とラリーの醍醐味を両立したサイクリングラリーは現在日本に存在しません。そもそもサイクリングラリーが魅力的なコンテンツであるかどうかを調査し、持続可能な運営形態を模索する必要があります。

そこで、本イベントは、サイクリングラリーの持続可能性の評価を目的に実施しました。

 

TRIAL CYCLE
目的:ラリー形式のサイクリングを通して、交通文化の発展に貢献する
目標:コマ図を用いてルートを走る
手段:トランポ前提の周遊タイプ、輪行前提の片道タイプのコマ図を配信し、参加者が任意の日に走る

 

TRIAL CYCLE 美濃 諸元
分類:片道タイプ
全長:35.25km
出発:名鉄犬山駅
終着:長良川鉄道美濃市駅

 

美濃は全長35kmで、START/FINISH地点は異なり、輪行による帰路を想定しています。グルメを楽しみながら、個々の景色を重ねていくことで、短距離ながら充実したルート設計としています。

参加者は5名。背景異なるメンバーで、個人運営の母集団としては十分なサンプル数に思います。みんなどうか楽しんで!

 

 

2023/11/26

10:00 名鉄犬山駅西口

遠方からわざわざお越しいただきました。輪行旅のため駅集合としましたが、トランポで集まりました。

TRIAL CYCLEでは、マップホルダー運用とスマホ運用のどちらにも備え、コマ図を別々に準備しています。今回は、スマホ運用のひとつの手段として、ラリーレイドアプリ koma-tour を活用します。スマホさえあればコマ図を用いて走ることができます。

 

自転車では、ガーミンのサイクルコンピュータを活用することが多いです。距離・速度・出力・ケイデンス(ペダル回転数)の他に、GPSデータを入力すれば地図を表示できます。便利なゆえスマホを固定する習慣がないため、コマ図を上に転記して貼り付けていました。コマ図とキューシートのハーフのようです。こういう手作り感が、黎明期らしいですね。

 

スマホホルダーがなければガムテープで固定すればいい。この工夫も手探り感を象徴しています。

私はQuad Lockのアタッチメントを用意しました。iPhone、Galaxy、GooglePixelなら専用ケースがあります。他の機種は、受け側を汎用ケースに貼り付けて対応できます。RAMマウントもいい選択ですね。

 

10:30 START

ブリーフィングを終え、皆さん出走します。サイクリングラリーにこだわるために、出走は一人ずつ。直後に信号交差点のため、結局は集団で走ります。私はマーシャルとしてバックアップします。

 

犬山城の最も美しい見せ方にこだわりました。城下町を気兼ねなく通れるのは自転車ならではでしょう。

 

短くも印象的な峠を登ります。御嶽は望めませんでしたが、この高さまで自力で登った達成感がみなの歓声に表れていました。どれほど思い出に残るかは、ぜひ確かめてみてくださいね。

 

 

サイクリングで飲む関牛乳もまた乙なものです。アマチュアロードレーサーは早くも完走。さすがの平均速度です。お昼のために戻ってきてくれるそう。それもそのはず、うなぎなので。たまらんな〜!

 

15:00 長良川鉄道美濃市駅

最後は五平餅ブレイクを楽しみました。紅葉を愛で、完走!

輪行袋に詰めて単行列車に乗って戻りました。感想を語りながら犬山へ戻って解散しました。

 

 

 

「短くても達成感が半端ない」

35kmは、サイクリングとしては短距離。しかし、コマ図になった途端に緊張感が生まれます。コマ図を見て、現場を見て、考えて進む。慣れない走り方に、ひとつひとつの交差点が印象に残っていきます。全部乗り越えて、自力でやり遂げた喜びは、大切にしてほしいですね。

初めてのコマ図。初めはとっつきにくても数コマ走ってみれば十分に理解できます。意外にカーナビよりも簡単です。

 

「間違えると漕いで戻らなきゃいけないことに気づいた」

そう、これがサイクリングラリーの決定的な違い。自分のミスは自分で払うしかありません。速くなくてもミスをしないこと。迷うことがラリーの本質ではないと考えるので、充実したルートを設計すれば、ラリーの醍醐味を感じられると思います。

 

「うなぎが沁みる」「ルート全部いい」「これ、めっちゃアリ」

食べる楽しみ、走る楽しみがあり、全員が満足できた旅でした。私自身も、これまで走ったコマ図の中で最も楽しかったです。

 

❏ 学び

1. 輪行台数について

輪行では、列車に積載できる台数に限りがあります。景色のいい場所を走る鉄道は単行が多く、自転車を置ける場所が限られています。多くても5台の感覚。イベントとして開くには、大々的に募集するのではなく、仲間内で誘い合って出走するのが良さそうです。

 

2. ルートについて

自転車は、車やバイクに比べて遅いため、景色を受け止める時間が長くなります。景色の印象がルートの印象になるので、洗練されたルート設計が肝要と思います。イベント性を高めるために人工的な演出をするのもひとつの技術ですが、サイクリングラリーに対しては蛇足と感じました。

 

3. 運営について

今回は、背景異なる気心知れた少数の仲間と走りました。持続可能なイベントとして開催するには、スタッフ動員して受入台数を拡大する必要があります。それでは輪行が困難になりますが、レンタルサイクル店舗の協力や、貸切列車・貸切バスで輪行などの展望もあります。QCDのバランス次第でしょうか。

 

所感

サイクリングラリーは、全く初心者でも楽しめるコンテンツでした。ツイプラの規模感で走るのがちょうどいい。現在は、登録者にコマ図を配信する運用です。引続きこの運用で推進するのが、自分にとってバランスを取れそうです。

ラリーに振った、自己対峙を経て激情を味わう、至高の冒険も準備中です。いつか走破いただける未来を期待して、自分のペースでやっていきます。美濃の他にもルートを配信していますので、ぜひ走ってみてくださいね。

 

いい箱を作れてよかったな、とほっとしました。

ご参加いただきありがとうございました。

 

では。