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TRIAL RALLY Rd.8 伊吹 開催記

琵琶湖岸を走ると、どこか懐かしく感じる。

学生時代を滋賀県で過ごしたからではない。

皆をも包む広さに、懐を重ねるからだろう。

 

情報と喧騒に溺れ、素朴な旅を求め始める。

平穏な湖と威厳に満ちた山に郷心が芽吹く。

一巻の地図に美濃と近江への敬慕を綴った。

 

分かち合いたい。

5年前に冒険を始めた、滋賀の魅力を。

「ただいま」と言える、滋賀への旅を。

 

名称:TRIAL RALLY Rd.8 伊吹

開催:2022年5月29日(日)

概要:4 STAGES,TOTAL 297km

地域:岐阜県・滋賀県

 

 

❏ TRIAL RALLYとは?

TRIAL RALLYは、オンタイム制ラリーイベントです。

コマ図を用いて指示された時間通りに走れるか、その正確さを競います。オンタイム+タイムトライアル+ラリーレイド をコンセプトにしています。

 

指示時間と走行時間が1分ずれると持ち点から減点します。早くてもダメ、遅くてもダメ。どんな路面・道路でも一貫してドンピシャを狙えるかを競います。

 

 

❏ ステージ構成

今回は5周年記念大会。

コンセプトは郷愁。恵那-伊吹300kmを副題に、美濃を貫いて琵琶湖を目指します。

 

これまでは、TOTAL 200km、3 STAGESで主に構成してきました。ステージ配分は、最初にビルドアップ、次に本格ステージ、最後に優勝狙うステージ。減点率の配分を変えてイベントに緊張感を与える手法を採用してきました。

対して今回は、TOTAL 297km、4 STAGESの構成。統一した減点率で一貫性を追求し、終日に渡り集中力を要求します。走行技術と時間管理を両立できて初めてオンタイムを狙える、路面の見た目以上に難易度の高い構成にしました。

 

 

❏ 参加車両

今回の出走は過去最大の21台。関西方面の参加者が増加の傾向でした。遠方では愛媛県・広島県から。遥々ありがとうございます!

 

❏ 記念品

5周年記念だから、何か残るものを作りたい。あったら嬉しいワッペン、ぜひとも着たいチャンピオンシャツにしました。ドライシャツで夏も心地いい。

シャツは、Rd.1-2連覇のMMGさんに印刷していただきました。ありがとうございます!

 

 

❏ ステージ紹介

STAGE 1

STAGE 1は、練習用。快走路+フラット林道で、オンタイムを狙う計算方法を確立してもらうステージです。

 

スタート地点からは恵那山。東濃を代表する日本百名山。見渡せば長野県の山すら見えます。

 

東濃の景勝地と言えば恵那峡。どのコマ図にも使っていない、とっておきの橋を選びました。

 

STAGE 2

STAGE 2は、成績を左右するクイーンステージ。東濃時代のTRIAL RALLYではおなじみの林道を経て、中濃へ向かう長丁場。1時間ごとに変わる様相に察知して平均速度を調整できれば、オンタイムもすぐそこ。

中濃では長大林道へ。進むごとに路面が変化し、幅広い走行技術を求められます。ごく一部だけ荒れていて、ラインの判断力も必要です。流水痕に慣れていればフラットに感じ、フラットに慣れているとハードに感じます。

景色も道もダイナミックな3時間。

 

長丁場ゆえ、何度も試走してルートを修正して難易度を調整しました。春が印象的でした。

 

1時間に渡って幹線道路を快走して、郡上八幡へ。東海圏では一度は訪れる観光地。ここの盆踊りは郡上踊りと呼ばれ、夜通し踊ります。コマ図記載の「夜の踊り子」は、そういう意味でした。

 

雪解けを期待して埋まったり。

 

天国のようなフラットが続きます。

 

麓へ降りてくるとモネの池。映えスポットと聞いたことあるが意外に知らない。一度寄るにはちょうどいいボリュームでしたので、紹介しました。

 

日本の道100選に選ばれた道、あじさいロード。最も好きな花を見る試走は至福でした。

 

 

STAGE 3

STAGE 3は、守りに入るステージ。午後になり、総合成績を意識し始めます。原風景を巡りながら、似たような景色・交差点を繰り返してもなおオンタイムを意識できるか。

 

この景色に惚れて15年。

 

谷汲山華厳寺の前を通りました。ここへのサイクリングは原体験のひとつ。試走の度に思い出しました。

 

 

STAGE 4

総合優勝を決めるSTAGE 4。ルートはTRIAL RALLYの真骨頂。

 

試走で初雪に遭遇したり。

 

裏伊吹を初めて綺麗に見たときは、思わず1時間佇みました。

 

空が開けて琵琶湖の気配を感じさせないよう我慢して我慢して道を繋ぎ、最後の最後にトンネルを抜けたら、眼前に広がる琵琶湖。「帰ってきた~」と言いたくなる夕焼けの淡海で。

 

 

 

❏ Rd.8 伊吹

2022年5月29日

06:00 岐阜県中津川市

2時起床、3時出発、4時半設営。スタッフは大学の同期・後輩に依頼しました。信頼のおける関係に感謝です。早朝からありがとう。

 

前週にコマ練KANSAIでお会いした面々も。皆様ありがとうございます。

 

Rd.7 七宗では前移動中にマシントラブルでDNSになった#17。思う存分緊張感を楽しんでいただくために、最初に送り出しました。楽しんで!

 

チュートリアル編の琵琶を体験いただいたエントラントも多数いらっしゃいました。ようこそ!

 

「TRIAL RALLYのおかげでTBIうまくいったよ」とご報告いただいたり。ライディングスキル向上に寄与できると確信していましたが、実際に日本最高峰の競技ラリー参戦に貢献したなんて5年前には想像もつきませんでした。

 

出走の後半にはSSER常連を固めました。ぼくがツーリングラリーから競技ラリーを志すきっかけになった方も。

 

 

07:30 岐阜県中津川市

雲一つない快晴で迎える新緑の恵那峡に、多くの参加者が記念撮影。大好きな景色を堪能していただけるのはコマ図書きの冥利に尽きます。よい旅を!

 

 

09:00 東濃

STAGE 2では、スタッフに撮影をお願いしました。長丁場の序盤だけあり、皆さん真剣です。

 

スタッフに気を取られてミスコースする瞬間もバッチリ。トリッキーでお気に入り。

 

 

11:00 中濃

最も路面の厳しい地点で待機。スタッフとホイッスルで救援要請の意思疎通を試みましたが、200mでも全く聞こえず。トランシーバーは必要ですね。

 

未通過の#111を探しに出ると早速発見。パンク修理に励んでみえました。STAGE 1が満点だっただけに、惜しいリタイアです。

 

12:00 CP2

TRIAL RALLYでは、STAGEごとに休憩を設けています。昼食もしかり。

今回は300kmでスケジュールがタイトなため、昼食時間が読みやすいお弁当をご用意しました。郡上の郷土料理、けいちゃんです。道の駅 美濃にわか茶屋様にご協力いただきました。大変おいしく好評でした。ありがとうございました。

 

 

16:30 滋賀県米原市

行方もわからないまま峠を駆け上がれば、伊吹山。

急カーブを曲がった瞬間に目に飛び込む伊吹の姿に、皆さん感動してみえました。試走でも見れなかったほどこの上ない天候に恵まれました。

 

 

17:30 滋賀県長浜市

全員、満面の笑みで完走!おかえりなさい!

 

長野県境の稜線を目前に控えた東濃から、福井県境の稜線を望む滋賀へ。

1日のボリュームとは思えないほど充実した300kmになったことでしょう。

 

それを裏付けるように、ヘルメットを脱いだ人から笑顔で感想を語り合っていました。

伊吹もまたそれを見守るように。

 

 

TRIAL RALLY Rd.8 伊吹 優勝は、#13!

Rd.7-8連覇達成、満点での防衛でした。あっぱれ!

 

 

❏ 総合成績

半数が80点以上!同点が4組と、かつてない接戦でした。

#13の満点優勝もさることながら、初参戦の#328がSTAGE 3まで同点で競り合ったことを讃えたい。上位はSSER経験者が占め、その腕を披露いただきました。

GS Trophy参戦の#9も、終日楽しみながらしっかり高得点で完走!GSでは過去最高の得点でした。

 

 

事前の綿密な計算を走りに繋げた#13、連覇おめでとうございました!

 

 

❏ あとがき

公道走行に特化したオンタイム制でも競技性のあるラリーイベントを届けられるだろうと23歳に始めたTRIAL RALLY。2人の参加者から始まりました。

滋賀の魅力を知ってほしい一心でコマ図を作り続けて、東濃へ。道中の魅力を伝えながら競技性を模索し続けてきました。毎回新たな試みを取り入れて、ルールやコマ図作りに反映させて8回目。気づけば10倍の参加者に。明るい感想をたくさんいただきました。

 

「自分を試されている」

ゴール直前の牛歩・爆走で足掻けるがここは公道。道中は走行技術や時間管理の技量を試すが、最後に天秤にかけるのは自己の良心。オンタイムラリーの本質を理解し、競技性に共感していただける方が増えてきました。

 

「期待をはるかに超えた」

また伊吹を見たい。琵琶湖を見たい。旅情に満ちた5周年記念。「伊吹、よかったでしょう。琵琶湖、よかったでしょう」に全員が頷く。郷愁を分かち合えました。

 

「TRIAL RALLYにハマりそう」「次回は優勝を決意」

自分自身のバロメータに参加される方も多く、前向きな気持ちに頭が上がりません。考えて走るおもしろさ、試走する自分も楽しんでいるだけに、この気持ちを今後も共有していきます。

 

生涯の金字塔になる一日になりました。

全力をお届けしました。

全力で挑んでいただきありがとうございました。

 

また東濃でお待ちしております。