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いとしの霊仙

こんばんは。けーごです。

 

登山、はじめました。

 

学生時代を過ごした滋賀県南部では、比叡山がよく見えます。比叡山がどれだけ明瞭に見えるかで天気を推し測ったものです。比良山系は視界の多くを占め、自ずと日常の一部になりました。

バイクに乗り始めて以来、日本百名山を見て回る旅を始めました。北は利尻山、南は開聞岳まで、数々の百名山を見てはバイクと一緒に写真に収め、旅の記録にしてきました。山地に佇む百名山は遠くの町まで離れて見るしかなく、天気に翻弄されることもしばしば。近くなら見えたのにな、と何度も思いました。

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錦江湾越しに浮かぶ開聞岳(鹿児島県)

 

全国を旅するにつれ、滋賀の山への愛着が増して行きました。特に、伊吹山は愛知県からも滋賀県からも共に見え、地元で過ごした日々と下宿先の日々をつないだ重要な存在でした。冠雪の伊吹は、感嘆の声を漏らすほど圧巻です。いつしか、この伊吹を他の場所からも見てみたいと思うようになりました。

滋賀を走ると、伊吹の他にも山々の個性に惹かれていきます。大きく構える比叡山に肩を組むように並ぶ武奈ヶ岳、伊吹山を見守るように佇む金糞山、滋賀県東部を切り取るように並ぶ鈴鹿山脈。優しさを見出す形もあれば、勇ましく思う形もあります。その中で、ひとつ他と異なる山がありました。

霊仙山。りょうぜんと読むこの名前は、日本唯一の三蔵法師 霊仙の発見に由来します。近江カルストを有するこの山の山頂付近は、樹木がなく岩肌が麓からも確認できます。緑豊かな滋賀県の山の中で、灰色の山は珍しい。なで肩の形で、遠くからでなければその山容をすべて認めることはできません。名神高速 上り 八日市あたりで霊仙が見えますが、それも山頂付近しか見えません。

多賀の山中にある権現谷から望む霊仙は思わずバイクを止めて眺めるほど立派で、心を奪ってやみませんでした。登山を始めるとしたら、霊仙がいい。いつしかそう思うようになりました。

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霊仙山の麓、権現谷

 

今冬は、多くの積雪に見舞われ、伊吹も例によって綺麗な雪化粧をしました。冠雪の伊吹を堪能したい。冠雪の伊吹を写真に収めたい。そうだ、霊仙に登ろう。伊吹の向かいに座る霊仙なら、何にも邪魔されずに静かに伊吹を撮れるだろう。伊吹に積もっても霊仙にはあまり積もらない。霊仙の登山経験のある学生の友人が近くにいるので、一緒に登ってみよう。

 

 

2月28日

09:20 醒ヶ井養鱒場

友人を拾って、米原から一駅東へ進んだ醒ヶ井へ。コンビニで食料調達し、アプリで入山届を提出します。今回は、榑ヶ畑ルート(くれがはた)で登ります。距離が最も短いそうです。登山口付近は駐車できなくなっており、麓の醒ヶ井養鱒場から歩きます。


10:00 榑ヶ畑登山口

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どフラットです。登山口に立つのも初めてですから、林道とは違う雰囲気に気分が高揚してきました。ご安全に!

 

 

10:15 1合目 榑ヶ畑集落跡

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霊仙の周辺には、廃村がいくつかあります。落合、今畑、榑ヶ畑、どれも霊仙の登山口です。電柱も見当たりませんので、林道開通と同時に廃村になった類の集落でしょう。

 

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誰かの住処だった石垣を登り、崩れた屋根、割れた器を見ながら進みます。廃村を通ることはオフ車であれば日常茶飯事ですが、こうして生活の影を見るのは徒歩ならではですね。

 

 

10:45 4合目

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汗拭峠から尾根を進み、標高を上げていきます。霊仙の山頂を右手に、醒ヶ井の町を左手に従えながら登ります。4合目で一休み。次第に寒さも増してきました。登山にはヒートテックを着ないこと、と以前ブログで読んだことありますが、その通りでした。汗が溜まってしまい冷えますね。次回からは面倒でも重ね着で温度調節します。

 

 

11:10 5合目 見晴台

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視界が開け、大きな尾根に出ました。琵琶湖が見えます。空気が霞んでいますが、着実に視点が高くなっていることに興奮を覚えました。これは病みつきになる感覚だな~

 

 

11:30 6合目

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道の周りに石灰岩が増えるにつれ、道を包んだ木々が減ります。これが近江カルストか。

 

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グリップする踏み方を探りながら登ります。お~、長浜だ。

 

 

11:30 7合目 お猿岩

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お猿岩まで来ると、いくつかのピークが視界を囲みます。カレンフェルトと呼ばれる、侵食した石灰岩が広がる原野に出ました。山ってでかいな~!

 

 

11:50 8合目 お虎が池

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飛鳥時代創建の霊仙寺があった頃、米の研ぎ汁でできたと云われている池です。研いだというよりは炊けたお米で埋め尽くされていますね。

 

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残雪と石灰岩を踏みながら、轍を進みます。風が強くなってきました。

 

 

12:20 霊仙山 最高地点

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9合目かと思ったら、最高地点でした。辿っていた轍は山頂方面ではなかったようです。霊仙のことを好きでも、双耳峰とは知りませんでした。

 

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山頂あっちか~!雪を突き進むようです。いいね、楽しそう!

とはいうものの、風は強いです。ダウンも着込んで最も温かい装備になりました。山は手袋いるんだな。

 

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この壁を越えると、霊仙の山頂が待っていました。

 

 

12:40 霊仙山 山頂

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歩行時間3時間20分、歩行距離9.0kmかけて標高1084mの霊仙山に登頂しました!嬉しい!登山楽しい!気持ちいいな~!

 

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目の前に伊吹山が見えるはずですが、全く見えませんでした...これも登山!仕方ないね!それにしてもカップヌードル霊仙店は最高ですね。次は伊吹を見ながら食べたいな~!

 

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無事に下山して温泉に向かう途中、バッチリ伊吹山が見えました。今じゃない...!また来いよ、とのメッセージでしょう。リベンジするぞ~!

 

 

伊吹山を見る目標は達成できませんでしたが、登山の楽しさを存分に味わいました。花の百名山に数えられる霊仙、その季節にも登ってみたいです。今年のラリーシーズン3月~11月を終えてから、紅葉狩りに他の山を訪れるのも楽しそうですね。

 

山に登ると心も昇る、新たな扉を開けた一日でした。

 

では。