❏ 飛騨へ
山は川を生み、小川は峰を形作る。
那由多の織りなす風景は個性豊か。
心酔した川端は旅の数だけあろう。
我々は、近江と東濃を旅してきた。
伊吹山と琵琶湖、恵那山と木曽川。
威厳と試練の郷愁を分かち合った。
さあ、6年目は北へ足を伸ばそう。
山の奥深さを、飛騨川の懐広さを。
訪ねようではないか、中山七里へ。
❏ TRIAL RALLYについて
TRIAL RALLYは、走行時間の正確さを競うオンタイムラリーです。スピードを競うスプリントラリーではありません。
❏ ステージ構成
今回は、飛騨へ向かいます。
飛騨は、尾根の折重なる様がヒダのように見えることに由来します。
飛騨の美しさは、連綿と続く高標高の山々と、その形を生み出した谷・川にあると考えます。そこで、飛騨の奥深さを味わっていだきたく、「山と川の対比」をコンセプトに、中山七里と題してお届けしました。
当初計画していた大半の飛騨の林道は通行できない状態にあり、距離は162kmと短くなりました。それでも、景色や風を存分に受けるバイクの楽しさを思い出すルートに仕上がりました。
今回は、競技性を高めるために、各ステージの走行時間を当日発表にする試みをしました。事前に計算して対策するのも素晴らしいですが、暗算を繰り返して走行時間を調整するより高度な技術に挑戦してほしい意図です。
❏ ステージ紹介
STAGE 1
飛騨へ向かうにも、まずは足慣らしの東濃から。短いからこそミスが許されない、なのにダート率48%の辛口な味付けです。
飛騨川水系を巡りながら、山へ飛び込んでいく構成です。
STAGE 2
次から次へと飛び込んでくるコマ図を捌きながら、南飛騨へ。ダイナミックさを感じ取る最長ステージです。
飛騨は匠の国。名大工の宝庫でした。そのため、飛騨には立派な神社仏閣が多くあります。中でも、禅昌寺は南飛騨で最も大きな寺院になります。飛騨の認識を塗り替えたくて、東海圏でもあまり知られていないこの場所をオンコースに選びました。
試走中の桜並木には言葉を失うばかり。花びら舞い散る道中は幸せそのもの。
STAGE 3
飛騨川水系をひたすら辿る午後。
中山七里は、古くから小説や戯曲の題材にされてきました。屏風岩をはじめ、沿川には抑揚豊かな目を引く景色ばかり。全線舗装路で油断を誘うが、先手を読む技術を問う地味に難しいステージです。
ポスター撮影地点は、JR高山本線の下原ダム橋梁でした。旧型の質実剛健な力強さも素晴らしかったですが、飛騨川に華を添える新型の輝きもまた素晴らしく感じます。
オンタイムであれば、一部の参加者は中山七里ですれ違うはず。鉄道メインのイベントではありませんが、特急ひだも飛騨の発展に貢献した立派な要素。目の前の景色を味わい尽くす、素朴でいいルートだとこの瞬間に思いました。
❏ 中山七里
6/18 岐阜県東白川村
今回の出走は22台。伊吹同等に数多くエントリーいただきました。ありがとうございます!
どうか、飛騨路を楽しんで。
STAGE 1は、SSER経験者が軒並みオンタイム。辛口な味付けゆえ、初めから振るいにかけていきますが、さすがの腕前です。
慣れ親しんだ東濃を駆け抜けて、飛騨へ向かっていきます。
3連覇をにらむ #13、飛騨をご堪能いただいているようです。
今回は、Rd.7まで同様に、昼食は1時間休憩。最長ステージを終え、昼食で一息つく様子がうかがえます。緊張ほころぶ笑顔が眩しいですね。
STAGE 2、優勝争いはさらに絞れて4人に。#2, #9, #13, #84の4人とも減点なしと白熱しています。TRIAL RALLYでは同点規定を設けており、最長ステージでオンタイムに近いほど評価されます。誤差0秒、-5秒、+20秒、+23秒と、驚愕の精度です。
中山七里。気にして見てみると、飛騨川はどこもかしこも雄大。
バイクが自由の象徴であったことを思い出させてくれました。
STAGE 3は、先手を読んでいれば時間調整がしやすい上に、減点率 -2点/分 のために多くの方がオンタイム。次回へのヒントに繋げていただけたら嬉しいです。
❏ 総合成績
#2, #9, #13, #84 の4人に絞れた優勝争い。
STAGE 2で圧巻の誤差0秒だった #84 は痛恨のミスコースで +72秒。伊吹のリベンジを狙った #9 はペース配分を見誤り -3分。
ついには #2, #13 が100点満点で完走。同点規定に基づいて、STAGE 2 -5秒で帰着した #2 が優位になります。
ここに、7人目のチャンピオンが誕生しました。
#2 優勝、おめでとうございました。
最高得点:100点
平均得点:75.7点
中央得点:84点
平均値より中央値が高くなりました。
開催を重ねるごとに、得点分布が高得点側へ推移しています。対Rd.8で距離半分・難易度易化の影響もあると思いますが、皆さんが時刻の扱い方を心得、自分のものにし始めている表れでしょう。
TRIAL RALLYを開催する目的・目標にしていた到達点に至ろうとしています。白熱した優勝争いに興奮を覚える一方、たしかな手応えを感じる総合成績でもありました。
排気量分布の推移、参戦回数による成績向上など、一通りの考察を次回への検討材料にしていきます。
❏ 最後に
「時間を狙うっておもしろいね!」「こんな遊びがあったんだ!?」
初参加の方々の興奮冷めやらぬ表情が印象的でした。挑戦してみて、走ってみて、初めて体感できる醍醐味があります。共有できて嬉しいです。
「TRIAL RALLYのコマ図は距離が正確で走りやすい」
TRIAL RALLYのコマ図は、正確かつ集中できるものを心掛けています。余計なズレ・情報は、意図しない形で頭のリソースを消費させます。当日は、暗算や景色を楽しむことにリソースを割いて欲しい。測距などの重要な試走は必ずバイクで行います。このひと手間が声として帰ってきて嬉しいです。
「ルートもロケーションも素晴らしい」「飛騨路の素晴らしさをわかった気がする」
想像を掻き立てる周縁は事前のプレゼンテーションに。走り終わった後にプレゼンテーションを読み返すと、綴られた言葉の意味も理解できるでしょう。オンタイムで走ってみて初めて気づく見え方・考え方にこだわりを持って、次回もまとめ上げます。
どうぞお楽しみに。
ご参加いただき、ありがとうございました。
また皆様とお会いできる日を、楽しみにしております。
では。