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紀伊闘走

こんばんは。けーごです。

 

熊野三山と潮岬を周る日帰りツーリングをしました。今回はその報告です。

 

論文の執筆が佳境になりました。公私にその負担が及び、休まらない日が増えてきました。そこで、現実から逃げ、現実への英気を養うことを目的に日帰りツーリングを計画しました。雄大な景色と長大な距離を一日に詰め、自分を鼓舞します。

 

旅には、ride to hide / ride to fight をテーマに、紀伊闘走と名付けました。U2のアルバム『The Joshua Tree』収録の、Where the streets have no name から着想しています。あまりに影響されているので、以下にはじめの歌詞を紹介します。

 

I want to run, I want to hide
I want to tear down the walls that hold me inside
I want to reach out and touch the flame
Where the streets have no name

 

名のない通りで、走り、隠れ、抱えた壁を壊し、炎に触れたい。
惨めさと怒りに立ち向かう歌い出しはたくましく、何度も自分を鼓舞してきました。今回はたくましく走れるでしょうか。

 

旅のルートはこちらです(リンク)。
日の出を見るために、鈴鹿の千代崎へ。千代崎から潮岬・熊野三山を回り五條から帰ります。行程600km・2府4県を跨ぐ暴力的な距離ですが、日帰りなのでSSTRよりは気楽です。



11月10日
03:30 滋賀県草津市
ride to hide編のスタートです。日の出と景色の癒やしを目的にしています。国道1号を上り、一路鈴鹿へ。この道中の星空は、SSTRを想起させました。XLR250Rのライトは提灯でしたが、CRF250 RALLYのライトはとても明るいので、頼りになりました。

 

05:15 ファミリーマート鈴鹿神戸三丁目店
夜明けまで余裕があったので、休憩を摂りました。まだ精神的な疲労が残り、胃の痛い時間を過ごしました。

 

06:00 千代崎海岸
SSTR2017, 24 Century Rideで来た千代崎海岸です。家の近くで最も綺麗に日の出を見れる海岸です。バイクを停め日の出を待つと、散歩中の方と会いました。毎日綺麗な日の出を拝みたい。心の洗濯をしたい。海に求めるものはみな異なれど、海に頼るのはみな同じですね。話し込んだり、写真を撮り、撮られたりしたら7時になりました。朝焼けも終わり、出発しました。

 

今回、ナビを使いました。北海道で使えなかったのは、シガーソケット部の基盤上のコイルが破断していたからでした。はんだ付けして以来、順調です。千代崎から潮岬へナビを設定すると、12:45到着でした。いやいや、かかりすぎじゃ? ん?下道と高速で平均45km/h、休憩で30分かかるとして、12時? あながち間違いではない? 日没を琵琶湖でとの期待が、日没までに五条へとの任務に変わりました。「だからよ、どういう計算をしてるわけ?」の大泉洋のお叱りが聞こえました。

 

09:10 三重県尾鷲市
日本百名山の大台ケ原を拝みました。もう少し遠くから見ないと頂をはっきりと見えなさそうです。大台ケ原は降雨の多いところなので、山を見れるだけでもありがたいことです。

 

10:20 熊野速玉大社
熊野川の渋滞を抜け、速玉大社へ。4年前、友人と特急を乗り継ぐ紀伊半島の一周旅行中に、新宮に宿泊したことがあります。当時は十津川以外の紀伊半島に興味を持たなかったので、速玉大社へ参拝しませんでした。ようやく参拝できて嬉しいです。もうで餅が売られていましたが、本宮で買うことにしました。

 

11:40 道の駅くしもと橋杭岩
以前、特急で通ったときに、古座で露天した岩を見ました。国道からもよく見えたので、懐かしくなり撮りました。2枚目は当時撮った特急の車窓です。道の駅に着いてから、橋杭岩と知りました。古座の岩も、その一部なのでしょう。

 

人が小さく見えます。北海道でさんざん自然に圧倒されましたが、紀伊半島の自然も雄大です。ここまで山海ともに圧倒的な景色でした。高野山・熊野三山を抱えるだけあり、紀伊半島の規模は凄まじいですね。

 

12:00 潮岬
本州最南端、潮岬へ着きました。ride to hide編のフィニッシュです。まだ完調ではありませんが、かなり癒えました。ハングリアン民族なので、昼食にカップヌードルをいただきました。昼食中に、坂田さんというおじさんと会いました。潮岬では有名らしく「潮岬 坂田」と検索すると一発で出てきます。潮岬に来た人すべてに話しかけているんじゃないかというほどおしゃべりな方でした。

 

潮岬には、潮岬タワーがあります。潮岬タワーの駐車場で、Versys-X の方と出会いました。滋賀県草津市からお越しで、潮岬を日帰りするそうでした。驚きましたが、自分もたいがいです。アドベンチャーライダーの考えることは、似通うのかもしれませんね。

 

潮岬タワーでは、本州最南端訪問証明書をいただけます。四端訪問証明書には、本土版と本州版があります。北海道では本土版を集めましたが、本州版ではこれが初めてです。気長に集めます。

 

展望室からは、大峯山脈を望めました。八経ヶ岳も見れて満足しました。また、果無山脈も見えました。果無山脈は1000m級の山脈ですが、奥深いと思い込んでいたので、ここから見えることに驚きました。長居できないので、給油して那智へ急ぎました。ride to fight編のスタートです。

 

14:40 熊野那智大社
那智大社へ着きました。那智勝浦ICからつづら折りを駆け上がり、本殿まで470段の階段を上ると、自ずとありがたく感じます。那智大社は、結宮(むすびのみや)として人の願いを叶えるとされています。月並みながら、良縁と安航を祈願しました。

 

麓へ降りると、那智の滝が見えました。これほど立派な滝を見たのは初めてでした。しめ縄が一層厳かにしていますね。しばし言葉を失いました。

 

那智で15時。ここから紀伊半島を縦断しなければなりません。まだ本宮を残しており、すでに山間の道は日陰でした。残り250km、帰宅は21時でしょうか。日没までに五條すら厳しくなりました。

 

新宮からは国道168号を走りました。169号が通行止めなので、新宮から畿内へ抜けられる唯一の道です。この時間から上るライダーなどいるのでしょうか。北海道を思い出すほどのいい流れに助けられ、本宮まで疾走しました。

 

16:00 熊野本宮大社
本宮へ着きました。これで熊野三山を回れました。安心してお土産を買おうとしましたが、もうで餅屋さんが閉店。3分差で間に合わず、残念。代わりに、熊野三山ステッカーを買えて満足しました。時間も厳しいので、大斎原へは行かず、道の駅へ休憩しに行きました。

 

16:30 道の駅奥熊野古道ほんぐう
暮れの果無山脈がよく見えました。果無山脈の由来には、果てしなく続く山から果無とついた説と、ハテ(12月20日)に現れる人喰い怪物を避けて人がいなくなったハテナシ説とあります。紀伊半島らしい、逸話を持つ山脈のひとつです。調べるほど逸話の出てくる紀伊半島は、やはり規模が大きいですね。

 

道の駅では、子供たちが芝生で遊んでいました。だるまさんがころんだで遊んでいましたが、一人が突然「はたらくくるまがころんだ!」と言い出しました。どえらいことになっとるやん。紀伊半島は子供たちの遊びの規模も大きいのか。

 

17:00 十二滝
さすがにこんな時間に十二滝に寄る人はおらず、気楽に撮れました。那智の滝の後では感動も薄れてしまいましたが、国道沿線の滝ではかなり立派に思います。

 

ここから滋賀まで200km、五條まで100kmあります。ハイビームから戻さなくなってきました。しかし、流れは速い。センターキープメソッド(どんなコーナーでも車線の中央を走り続ける走法、マージンを保ち様々な挙動を練習できる)を日頃練習しているおかげか、知らない夜道でもテンポよく走れました。十津川村役場を過ぎると、中型バスを先頭にした車列に追いつきました。バスに譲ってもらい、大塔から五條まではものすごいペースでした。ナビの帰宅予想時刻がどんどん早くなる。地元民すごい。楽しく五條まで走り、本宮での予想時刻から1時間巻きました(!)

 

20:40 滋賀県草津市
五條からは京奈和・南阪奈・第二京阪で滋賀までバイパスしました。美原JCTの渋滞以外は順調に走り、無事に帰宅しました。

 

走行距離:612.2 km
走行時間:17:10:00



熊野の由来には、神の籠る地という説が複数あります。隈が隠れるを意味するから、古語でクマという言葉は神を意味するから、他にも多く見受けられました。紀伊半島が偉大なのは単に大和に近いからではなく、その存在自体に人々が畏れあやかったからだと思います。ぼくもその一人です。雄大な熊野を通して胃の痛さも和らぎ、感情を取り戻した気がします。あと3ヶ月、頑張ります。

 

では。