#GiveMeWings

discover

雪の立山

こんばんは。けーごです。

 

立山黒部アルペンルートを通って、立山に登りました。

 

世界有数の山岳観光である立山黒部アルペンルート。雪の大谷や黒部ダムなど日本を代表する観光地を巡ります。麓は新緑、山頂は雪。季節をまたぐ霊峰立山の旅。この時期しかできないだろうと、行ってきました。

 

❏ 立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルート - Wikipedia

 

www.alpen-route.com

 

立山黒部アルペンルートは、立山駅から扇沢駅までをつなぐ山岳観光路線です。全長37.2km、標高差1975mあります。西側は富山地方鉄道が富山駅へ、東側は路線バスが信濃大町駅へ接続しています。

日本唯一のトロリーバスをはじめ、様々な乗り物に乗れる貴重な路線でもあります。GWに雨はつきものですが、奇跡的に全日晴れました。

 

 

❏ 旅路

5/2 愛知県犬山市→富山県富山市

1日目は、富山駅へ前移動。

 

09:23 美濃太田駅

GWに鉄道旅は初めて。特急ひだ3号、グリーン車で快適に富山へ向かいます。

 

 

本州縦断紀行 The Quarter Ride の道程を鉄道でなぞります。宮峠を越えて、川の流れが変わりました。

 

12:31 富山駅

富山ブラックラーメンをいただきました。

 

13:00 富岩運河環水公園

立山連峰は雲に隠れて見えず。直近まで1日目は雨予報でしたので、薄晴れなだけでも十分嬉しいです。

 

賑わっていました。こんな景色も久しぶりです。

 

14:10 下奥井駅

ライトレールに乗ってみたくてなんとなく岩瀬浜へ。

 

14:40 岩瀬浜駅

日頃の足として使われているようで、終点まで混雑していました。

 

手前の立山連峰は剣岳も立山も見えません。奥の後立山連峰では左側に朝日岳が見えます。

 

17:00 富山駅

グランドプラザへ寄り道、電鉄富山駅で駅構造や発券方法を下見して、投宿。山岳地図で明日の予習して、早めに寝ました。

 

 

5/3 富山県富山市→長野県大町市

2日目は、立山黒部アルペンルートを通り、立山登頂を目指します。

 

05:00 電鉄富山駅

電鉄富山駅では、立山黒部アルペンルートの切符を発券できます。当日券購入の行列をよそに、Web予約用発券機ですぐに発券できました。

電鉄富山駅は有人改札で、改札時間が決められています。一番乗りを狙うなら、4:45頃に並ぶと良いでしょう。

 

5:23発の快速急行で立山へ向かいます。2022年春のダイヤ改正で特急が運転中止になりましたので、富山地方鉄道で唯一の優等列車です。

全席が埋まるほどの乗車率でした。地方私鉄の始発列車でこれほど混むとは驚きです。

 

立山連峰がよく見えます。今日は天気が良さそう。

 

 

6:30 立山駅

立山駅舎の2階は立山黒部アルペンルートのケーブルカー乗り場です。立山を登る人はここで入山届を書けます。

ケーブルカーは10分毎の運行で、便を指定されます。1ヶ月半前のWeb予約の時点で7:20の便からしか空いてませんでしたので、それまで待ちます。

 

31°の勾配を登ります。

 

07:30 美女平駅

立山観光の拠点 室堂までバスで1時間かけて登ります。

 

ブナが多く、高山を思わせます。

 

大日岳・奥大日岳が車窓から見えます。大日如来を祀ったことに由来しますから、修験の場であったことがうかがえます。

仏教のひとつである華厳経は、この世を時間・空間の二軸のネットワークと捉え、大日如来を介して釈迦から間接的に教えを受けることで悟りに至ろう、という考え方の教えです。ネットワークは大日如来を介してアクセスできる悟りクラウドです。

 

 

08:30 室堂駅

立山そばをいただきました。なるとがいい役してます。非常においしかった!

 

入山届を提出して、ガイドから注意点の説明を受けます。アイゼン・ワカン・ゲイターの冬山装備をつけ、いざゆかん!

 

軽装から山スキーまで、多様な人で溢れていました。

 

 

09:45 立山入山

これが立山。立山という名前の山はなく、三峰から成ります。

雄山   :3003m 右側 主峰

大汝山  :3015m 中央 最高峰

富士ノ折立:2999m 左側

右奥鞍部の一の越山荘から稜線を登って、雄山を目指します。

 

ボードで降りていく人も、スキーで登っていく人も。雪山の知らない楽しみ方を目の当たりにして、新鮮そのもの。

 

地獄谷から硫化水素の臭いが漂ってきます。

 

 

10:45 一の越

鞍部の一の越。吹き抜ける風が強く、冷えてきました。防寒に持ってきたカッパを着込みます。

右奥には薬師岳。左には北アルプスの主稜線が伸びています。薬師岳は麓からあまり見えないので初めて見ます。同じ目線に立って初めて見える景色、新鮮です。

 

雄山への急登は岩場。

 

黒部湖方面へ滑降していくボーダーもいました。この1本のために何時間もかけて移動してきたと思うと、恐ろしくも感じます。

 

ラリーは移動することでスケールを感じますが、登山は留まることでスケールを感じます。なにもかもが新鮮です。

 

赤矢印を頼りに足の踏み場を探ります。

 

 

12:00 三の越

最後のひと登り。

 

山頂が近づくほど急になっていきます。

 

 

12:30 立山 雄山山頂

やったー!!!

 

雄山神社で旅の安航の感謝と祈願。

 

後立山連峰。立山の後ろという表現に納得します。

左から順に、爺ヶ岳鳴沢岳赤沢岳スバリ岳針ノ木岳

 

後立山連峰の主役は白馬三山。すべて百名山に選ばれています。

左端から、白馬岳五竜岳鹿島槍ヶ岳

日本百名山の著者 深田久弥が生涯愛した山のひとつが鹿島槍。とりわけ目を引きます。

 

白沢洞門から見る鹿島槍と五竜岳。一度見たら忘れない、言葉を失う凛々しさです。

 

立山連峰で目に飛び込むのは剣岳。寝台特急や北陸新幹線の名前にもなっています。深田久弥は剣岳の項の書き出しに「北アルプスの南の重鎮を穂高とすれば、北の俊英は剣岳であろう」と記しています。

空海が登頂を諦め、明治に陸地測量部によって開山されるまで剣は拝む山だとされてきました。雪煙をまとう剣には精悍さを覚えます。北の俊英とは全く同意できますね。

 

黒部ダム方面のシュプール。羨望すら覚えますが、山もスキーも初心者には遠い存在です。

 

 

14:15 立山下山

登山2回目で行く山ではない気がしましたが、登山がなぜ人を惹きつけるのかを理解しました。

山容・縁起に憧れて名山の登頂を目指しますが、山頂そのものに山容・縁起を感じるのではなく、その道程に見出すのだと感じました。そして百名山に選ばれるのも、麓の見た目も良し、背景の物語も良し、山頂の景色も良し、と揃いに揃っているからこそだと納得しました。

立山駅から登頂すれば、立山信仰がなぜ起こったかまで理解できるでしょう。健脚の方はぜひ。

 

 

14:45 雪の大谷

ポスターで何度も見たこの風景。今年は17mだったとか。

 

晴れてよかった。

15時を過ぎ、そろそろ信濃大町へ向かわねばなりません。

高山病のせいで頭痛がしてきました。寄り道せずにホテルを目指します。

 

 

15:30 室堂駅

トロリーバスに乗ります。トロリーバスは、無軌条電車という鉄道に分類されます。

新交通システムやBRTのような、バスと電車の間にある交通機関は制度や構造に特徴があっておもしろいです。

 

鉄道なので、鉄道用の信号機が用いられます。奥が信号場の出発信号。手前が信号場の場内信号。黄2灯は警戒信号で、25km/h以下での進行を意味します。すれ違いや大きな駅に入る前の、止まる準備しとけよ、というシーンで見る信号現示です。

 

 

15:30 大観峰駅

ワンスパン式のロープウェイ。駅と駅の間に支柱がない方式で、日本に2ヶ所あります。雪崩リスクの回避だとか。黒部湖と針ノ木岳を見ながら、カテナリー曲線に沿って黒部平駅へ降りていきます。

 

 

16:10 黒部湖駅

黒部平駅からケーブルカーに乗換え。全線地下のケーブルカーは日本唯一らしい。

希少なものばかりで感覚が麻痺してきます。

 

 

16:15 黒部ダム

堰堤高さ日本一の黒部ダム。この日本で最も有名なダムは、映画やドキュメンタリーにも取り上げられました。1963年完成で、東海道新幹線と同時期にあたります。日本の土木技術を押し上げた世紀の大工事でしょう。

一度は訪れたい場所、来れて満足です。

 

 

16:35 黒部ダム駅

立山黒部アルペンルートの最後は関電の電気バス。かつてトロリーバスでしたが、2019年から電気バスに置き換わりました。

車両はシリーズハイブリッドではなくBEV。給電方式はパンタグラフで、専用の給電設備で充電します。鉄道では、JR東日本のEV-E301系が類似していますね。

 

 

16:50 扇沢駅

扇沢駅へ着き、立山黒部アルペンルートはこれで終了。ここからは路線バスで信濃大町駅まで行きます。

高山病がひどくなり、吐き気がしてきました。乗換時間が長かったので助かりました。また、バスはとても空いており、フルにリクライニングさせて寝ているうちに着きました。

 

 

17:40 信濃大町駅

到着!周りに薬局はなく、昼夜食べれないまま投宿して寝ました。

 

 

5/4 長野県大町市→愛知県犬山市

3日目は、松本観光して帰ります。

 

08:23 信濃大町駅

12時間以上寝て高山病から回復しました。のんびり帰りましょう。

 

燕岳が見えます。大糸線の車窓は想像通り素晴らしく、ずっと見ていられます。大糸線の架線柱は東側に設置され、北アルプスの展望を堪能できるように配慮されています。

 

 

9:00 穂高神社

穂高駅で途中下車。穂高神社へ寄り道します。山岳信仰に基づいたところかと思えば関係ないようで。

 

駅までの道に売っていたプリンを食べながら、次の電車を待ちました。若干硬めのプリンがおいしい!

 

 

11:00 松本城

国宝松本城。国宝のお城で未訪問は松本城のみでした。

天守入口まで120分待ち、見学に50分かかるとのこと。さすがGW。帰りの特急は15時なので待ちます。旧開智学校は耐震工事中で見れないので、松本城だけ見れれば満足です。

 

2時間半待って、天守閣最上階へ。美ヶ原の稜線が見えますね。

 

北側には旧開智学校が見えました。満足!

 

 

14:30 松本駅

帰りは特急しなの。定期便続行の松本始発の臨時便に乗ります。定期便は満席でしたが、臨時便のグリーン車は3人しか乗車せず、名古屋まで快適に過ごせました。

 

きしめん食べて帰りました。

 

 

❏ あとがき

最近は、未知なる日本と精神的探究を追う奇抜な旅が続いていました。今回は、定番の観光ルートに探究を盛り込んだ、ちょうどいい旅でした。このスタイルは板につくと思います。温めている奇抜な旅もあるので、いずれしたいですね。

また、山について。これまで見てばかりだった百名山に初めて登頂しました。ソロも冬山も初。著名な観光ルートで人も多く距離が短いために立山登頂を選びましたが、基本を知らないと実感する場面もありました。ビーナスラインですら高山病になったので、自分の身体がどれだけ登山に向いているかは模索が必要です。

スキーも始め、登山も始め、山遊びを覚えつつあります。山に親しみを覚える一年になりそうです。今夏も楽しみですね。

 

では。